ペドロ&カプリシャスの1978年リリースのシングル曲。
ぺドロ&カプリシャス
アルバム「GIFT BOX DISC-1」より
「カリブの夢」収録
カリブ海がテーマの歌ですが、実際にカリブ海に出かけていくわけではなく、主人公の女性が、いつ来るとも知れない恋人の訪問を待ちわびながら、ひとり自室で壁に貼ってあるカリブ海のポスターを眺めて妄想の旅にふけり、寂しさを紛らすという内容です。
男性がなかなか訪ねてこない理由は判然としませんが、もしかしたら別に家庭を持つ人物なのかもしれません。『待つことはつらくない』けどそのかわり『ひとつぐらい夢を見ていいでしょう』と、女性は寒々しい灰色の部屋でひとり、壁にかかったコバルトブルーの海に思いを飛ばします。おそらく女性は男性とのロマンティックな二人旅を思い描いているのでしょう。しかし男性と次に会えるのはいつなのかすら全く見当がついていない様子の彼女にとっては、彼との二人きりの海外旅行などおよそ叶いそうもない夢です。
典型的な「待つ女」を歌った曲ですが、時は1978年。やがて歌謡界には、たとえ恋に破れてもいつまでもメソメソすることなく、気晴らしとばかりにとっとと海の向こうに出かけていったり(「飛んでイスタンブール」(1978)や「異邦人」(1979))、彼氏に正面切って啖呵きったり真っ赤な高級外車を自在に乗り回したり(「プレイバックPart2」(1978))、恋の終わりを予感したとたんこちらから願い下げとばかりに恋人をばっさり切り捨てたり(「オリビアを聴きながら」(1978))、はたまた好きな男の腕の中でも違うの男の夢を見てしまったりする(「魅せられて」(1979))、おのれの自我を発揮して自分の生きたいように生きる、強くてしなやかな女性たちが台頭してきます。そういった意味ではこの「カリブの夢」は、ひたすら男性を待つだけの、しおらしい受け身の女性を描いた最後っぺぐらいの曲といえるのかもしれません。
山川啓介氏の手によるシンプルながらも美しい歌詞と、筒美京平、萩田光雄の黄金コンビから編み出されるスリリングで上質なサウンドは期待を裏切らず、ボーカル高橋まり(現:高橋真梨子)のドラマティックなアルトボイスは、まさに旬の関サバとばかりに脂がのりきっている印象です。ペドロ&カプリシャスの2代目ボーカリストだった高橋さんはこの曲のリリース後にグループを離れ、ソロに転向しています。
調べましたら実はこの曲カバーのようでして、筒美京平氏がプロデュースした和製ディスコバンド、Dr.ドラゴン&オリエンタル・エクスプレス(メンツが凄すぎる)の同名曲が原曲なもよう。
カリブの夢
Dr.DRAGON & THE ORIENTAL EXPRESS
アルバム「THE BIRTH OF A DRAGON+4」収録
Amazon Music
和製ディスコの名曲だそうです。
リアルタイムで聴いていた記憶は全くないのですが、なぜか不思議と既聴感をおぼえます。有名な曲だそうなので、意外と知らず知らずのうちに耳にしていたのかもしれません。
ちなみにこんなひとも歌ってます
シェリー「カリブの夢」
シングル「恋のハッスル・ジェット」(1976)B面曲
気絶するほどなつかしい・・・