少年ケニヤ/渡辺典子

 角川映画製作のアニメ映画「少年ケニヤ」の主題歌だった曲です。


少年ケニヤ
渡辺典子
 
カップリングの(両A面曲)『花の色』も有名です
 
 
 



タイトルからすると思わず太鼓ドコドコ、サルやゴリラが吠えまくるアフロなジャングルっぽい音楽を期待してしまいますが、いざ聴いてみると意外にもほのぼのしたフォルクローレ風の曲。終始6 / 8 拍子のリズムを刻みながら前へと進んでゆきます。その先には空腹のライオンもやたら好戦的な危険部族もいない感じです。もし何か行く手に待ち受けているとするならそれはスライムにおおねずみ、はぐれメタルといった架空のモンスターという感じで、子供の頃に親しんだロールプレイングゲームのBGMを想起させるようなわくわくとしたメルヘンチックな味わいがあります。作曲は宇崎竜童、編曲は萩田光雄。いずれもエスニックな音作りには定評のあるご両人です。

作詞は阿木燿子さん。未成年が主人公のアフリカの冒険ものという物語の世界観はしっかりと踏まえつつ、大人の世界に足を踏み入れたくってしょうがないおませな少女の胸の内を描くような内容の詞になっています。
そういえばたしかこの物語では主人公の少年に、一緒に旅をする金髪のガールフレンドがいました。私は当時映画は未見で、同時期に映画の公開にあわせて再販された原作の文庫本のほうに夢中になったクチなのですが、ケートという名前のヒョウ柄ルックのセクシーな女の子だったと記憶しています。ひょっとしたらこの歌詞はその少女の目線で書かれたものなのかもしれません。

さて、この「少年ケニヤ」は「角川三人娘」の一人だった渡辺典子が歌ってスマッシュヒットを飛ばした曲でしたが、個人的にはあまり馴染みのなかった歌でした。(もっとも当時の角川映画特有の怒涛のCM攻勢のおかげで『口移しにメルヘンください』というサビのフレーズだけはいまだ呪文のように頭に刷り込まれていますが)いや、「馴染みがない」というよりむしろ「意図的に避けていた」と言うべきかもしれません。なぜなら当時小学生だった私は、渡辺典子のことがすこぶる怖かったからです。
原因はこれ(↓)


映画「積木くずし」
1983年
出演:渡辺典子他

 
 ぎゃー!!!
 
 



映画「積木くずし」!!「少年ケニヤ」よりさかのぼること半年ほど前に公開され、世の中の老若男女を大いにざわつかせた衝撃の問題作です。突如非行に走った娘を更正させるまでの親子の壮絶バトルの日々を描く物語でしたが、この映画に当時まだ新人だった渡辺典子さんが出演。主演格の不良娘の役を演じてたのですが、まあそのビジュアルの怖かったこと怖かったこと。半裸でベッドに横たわり、前晩の外出先を尋ねてきた母親に対して「どこだっていいじゃねえか」と恐ろしい形相ですごむその姿は、札付きのヤンキー娘というよりもはや悪魔憑きの浜崎あゆみ。ポスターやCMにも使われたこの有名なシーンは、まだいたいけな子供だった私を骨の髄まで震え上がらせ、気がつくと「渡辺典子」という名前の字面を見ただけで恐怖を覚えるほどになっていたので、とても冷静に歌を聴くどころではなかったのでした。まあでも、のちにドラマや歌番組などでたまに見かける極悪メイクをとった渡辺さんの素の姿は、不良娘のイメージとはまるで違う楚々としたお嬢さんという感じだったのでほっとしましたが。
三人娘の中で一番アイドル色が薄いだとかなんとかよく言われてましたが、アイドルというよりむしろ、端から女優気質の人だったのでしょう。その後も中堅どころの女優さんとして地味ながらコンスタントに活躍していた印象ですが、最近はあまり見かけなくなっちゃったな。

南米のフォルクローレタッチの曲ですが、タイトルの「ケニヤ」に合わせて「アフリカな曲」にカテゴりました。


  作品データ  

少年ケニヤ
リリース:1984(昭和59)年
歌:渡辺典子
作詞:阿木燿子
作曲:宇崎竜童
編曲:萩田光雄

渡辺典子  ベスト

渡辺典子 ベスト