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シェルブールは霧雨/松田聖子

フランス・ノルマンディー地方の港町、シェルブールを舞台にした曲。
かつての恋人同士のせつない邂逅を描きます。


Strawberry Time
 松田聖子
シェルブールは霧雨」収録
 Release 1987



 


主人公の女性はイギリス(ロンドン)に帰る途中、懐かしさついでにふと立ち寄った対岸の町フランスのシェルブールで偶然、昔の恋人の姿を見かけます。いまだ独りの自分とは対照的に彼にはすでに家族がいました。美しい妻。子犬を抱きながら車を降りてくる可愛らしい少女。絵にかいたような幸せな家族像です。女性は雑誌を読むふりをして悟られぬよう男性からそっと目をそらします。

続く歌詞のなかで今度は男性の方でも女性に気づいたらしい場面が描かれます。場所は出発待ちの列車の中。女性も『ふと視線感じた』とそのことに気づきます。かつて愛し合っていたもの同士が、顔を合わさずとも何か不思議な糸に導かれるようにして、今、同じ空間に居合わせていることを認識しあったと思われる瞬間です。でも女性はあえて男性に気づかぬふりをして、すでに腰を落ち着けていた座席をわざわざ立って、彼の視界に入らない別な場所へと移動していくのです。たがいにその存在に気づきながら、最後まで声をかけることもなければ目を合わせることもないままで終わるかつての恋人たちのあまりに切なすぎる再会。誰よりもいちばん近くにいたはずの人がいつしか最も遠い存在に変わる。男女の縁とはなんと異なもの乙なものなのでしょう。(私は何を言ってるんでしょう)

まるで映画のワンシーンでも見ているような気になるこの曲は、同じくシェルブールを舞台にした悲しい恋の物語「シェルブールの雨傘」を思い起こさせます。

 


 シェルブールの雨傘
  Les Parapluies de Cherbourg 

 
フランス人のずば抜けた色彩感覚と美しきドヌーヴに驚愕す。

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作詞は松本隆氏。男性でいながら女性の心のひだまで知りつくしているような神業的作詞センスはこの曲でも大スパークしています。もううなるしかありません。
作曲は松田聖子さん自らの手によるもの。シンプルでいながら飽きのこないきれいなメロディラインは、彼女の意外なまでの作曲能力の高さを感じさせてくれます。
天才アレンジャー大村雅朗氏の安定の仕事ぶりに至ってはもう何も言うことがありません。
絵画的に美しい詞の世界と洗練されたサウンドのバランスが絶妙なまさに珠玉の一曲。「松田聖子の好きな曲は?」と聞かれたら、個人的には必ずや五指に入れたい曲の一つです。
なるべく頻発は避けたい言葉なのですが、あえて「隠れた名曲」と言わせていただくことをお許しください。

  作品データ  

シェルブールは霧雨
リリース:1987(昭和62)年
歌:松田聖子
収録アルバム「Strawberry Time
作詞:松本隆
作曲:SEIKO
編曲:大村雅朗

シェルブールは霧雨

シェルブールは霧雨

  • 松田 聖子
  • J-Pop
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