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Aquarela Do Brasil(ブラジルの水彩画)/Ary Barroso

ブラジルといえばこの曲というぐらい、吹奏楽などでもおなじみのたいへん有名な曲です。 元々のタイトルは「Aquarela Do Brasil(ブラジルの水彩画)」ですが、現在では単に「Brasil(ブラジル)」(英語圏では「Brazil」)と呼ばれることが多いようです。

曲の成り立ちについて調べてみました。
「Aquarela Do Brasil(ブラジルの水彩画)」は、1939年にAry Barroso(アリ・バホーゾ)というブラジルの作曲家兼ピアニストが作った曲で、「Samba Exaltaçāo(サンバ・エザルタサォン)」というサンバの中の一ジャンルを築くきっかけになった曲とのこと。

Ary Barroso Songbook V1 / Various


Ary Barroso (1903-1964)
 Ary Barroso Songbook Vol.1 より

 

一説によるとこの曲は、ある嵐の晩、あまりの強雨に外出を諦めざるを得なくなったアリ・バホーゾが、自宅にこもってピアノを弾いているうちにインスピレーションが沸き、わずか数十分で書き上げてしまった曲と言われているそうで、タイトル中の”水彩画(aquarela)”というワードはそのときの雨に由来するものなのだとか。

今や「ブラジル第二の国歌」とまで言われているこの曲も、意外なことに発表当初はあまり注目されることはなかったらしいですが、初出から3年後の1942年、南米をテーマにしたディズニー映画の劇中音楽に使用されたことで一躍脚光を浴びることに。

Saludos Amigos (Disney Gold Classic Collection) by Walt Disney Home Entertainment


Saludos Amigos
第二次大戦中の1942年に公開されたディズニー映画
邦題は「ラテン・アメリカの旅」
一見戦争とは無縁そうだが、アメリカの国策で作られた
南米向けプロパガンダ映画(ナチズムの浸透阻止が狙い)だったらしい

 

以降、世界中に知られる名曲となり、こちらのリストに掲載されているだけでも、かなりの数のカバーバージョンが存在することがわかりますが、私が初めてこの曲を知ったのは、ジョアン・ジルベルトとその仲間たちによるこちらのバージョンでした。

Brasil


Aquarela Do Brasil(Brasil)
 Joaõ Gilberto,Caetano Veloso,Gilberto Gil
 収録アルバム:Brasil
 release:1980

Listen on YouTube

 

涼し気でとてもいいです。このジョアン・ジルベルトのバージョン、その昔、深夜番組のエンディングテーマに使われていたような気がするのですが、どうしても番組名が思い出せないので単なる記憶違いかもしれません。間違ってたらごめんなさい<(_ _)>


続きましてはアメリカの大御所シンガー、ディオンヌ・ワーウィックです。ブラジルを「spiritual home(心のふるさと)」と呼び、以前にはしばらく母国アメリカを離れて本格的に生活の拠点を移していた時期もあったというほど半端ないブラジル愛をお持ちのディオンヌ・ワーウィック様は、この「Aquarela Do Brasil」も過去に二度ほど自身のアルバムの中でカバーされているようですが、こちらは1998年のアルバムに収録されているジャズ風のバージョンです。おしゃれです。

Dionne Sings Dionne


Aquarela Do Brasil
 Dionne Warwick
 収録アルバム:Dionne Sings Dionne
 release:1998

Listen on YouTube

 

このバージョンを生歌で披露している映像があります。

このライブ映像はディオンヌ・ワーウィックが2003年、米国・ニューヨーク州で行われた有名なジャズ・フェスティバル(Syracuse Jazz Festival)に出演したときの模様らしいですが、どういうわけか近所の市民センターの体操教室にやってくるオバちゃんみたいなスタイルでステージに立たれるディオンヌ様( ̄▽ ̄) でも生き生きと楽し気に歌っている姿が好きで何度も見てしまいます。ちなみにこのときの曲の構成はブラジルの名曲を数曲連ねたメドレーになってまして、ラストに「Aquarela do Brasil」を歌います。

最後になりますが、ここ数年来の私の中での一押しの「ブラジル」をご紹介します。

こちらはアメリカのジャズ・オーケストラ・グループ、ピンク・マルティーニ(Pink Martini)による、2011年のライブ時の「Brasil」の演奏です。もう何度見ても飽きません。暑さも疲れもいやなことも全部吹き飛んでいく感じです。
歌っているのはストーム・ラージ(Storm Large)さんという米国・オレゴン州ポートランドをベースに活動しているシンガーの方で、ピンク・マルティーニには、以前、専属のボーカリストが健康上の理由で長期休養した際に代役のシンガーとして臨時加入し、以来、セミメンバー的な立ち位置でたびたびグループと活動を共にしているようですが、セクシー&パワフルなパフォーマンスが魅力の女性シンガーです。そういえばストーム・ラージさんは、先日、アメリカの有名なオーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」(America's Got Talent)に出場して圧巻の歌声を披露し、みごとあの辛口審査員たちの度肝を抜いてました。意外だったのは審査員が誰もストーム・ラージさんのことを知らない様子だったことです。(一人だけ「前にどこかで会ってない?」と聞いてる人がいましたが)全米規模ではまだまだ知られていない方なのでしょうか・・・それとも番組的にわざと知らないふりをしたとか・・・?さすがにそれはないかもしれませんが、いずれにしても個人的には久々にお宝発見!ぐらいの勢いでとても魅力的なシンガーに思っているので、これからもますます注目していきたいと思っています。

  作品データ  

Aquarela Do Brasil/Brasil(ブラジルの水彩画/ブラジル)
リリース:1939年
歌:João Gilberto,Caetano Veloso & Gilberto Gil 他、カバー多数
作詞:Ary Barroso(英語詞:Bob Russell)
作曲:Ary Barroso