ホリゾント
南佳孝
収録アルバム:SILKSCREEN
release:1981
”あるエンターテイナーの悲劇”を描いたような、ストーリー性に富んだ楽曲です。
詞の中に女優もしくはダンサーと思しき女性が登場し(私的には、サーカス団の踊り子のような旅芸人のイメージが思い浮かぶ)、冒頭から何やらものすごく薄幸そうな雰囲気が漂っていてそれだけでも悲しいのですが、そこへもってきて、最終的にはこの女性の死を思わせるかなり衝撃的な場面が描かれて歌は終わります。
悲劇的な歌詞に呼応するようにメロディーラインも徹底的に暗く、序盤はピアノ(キーボード)のみのようなシンプルな演奏で静かに歌われていきますが、徐々にストリングスの音色が重なっていき、中盤以降はトラジックな響きの壮大なオーケストレーションに発展。最終的にはそこにゲイリー・ムーアばりの泣きのギターも入ってきて、悲しみをよりいっそう盛り上げます。なんだか救いのないドラマでも見てしまったような気持ちになる一曲です。
ちなみに「ホリゾント」というのは舞台用語で、ステージ後方の背景用の壁や幕、あるいはそこを照らす照明を指す言葉とのこと。素人目で見る限りおよそ名前なんてなさそうな場所ですが、そんなドラマティックな響きの名称があったとは。世の中まだまだ知ってるようで知らないものであふれかえっていると今さらながら改めて思う今日この頃です。
作品データ
ホリゾント
リリース:1981(昭和56)年
歌:南佳孝
作詞:来生えつこ
作曲:南佳孝
編曲:清水信之・後藤次利