スリリングなメロディーラインが魅力のサンバ風歌謡曲です。
「思いっきりサンバ」は、石野真子の1981年のシングル曲。
作詞=有馬三恵子、作曲=筒美京平、編曲=大村雅朗と、三賢者揃い踏みといった感じの豪華作家陣による楽曲です。
歌詞は抽象的ですが、大人か子供かどっちつかずの微妙な年頃の少女の、早く大人の恋を知りたい、一皮むけた別な自分になりたいと、いささか先走り感の漂う青臭い願望を描くようなもの。『しあわせもその裏も知ってみたい』と、若さゆえの生意気さや恐れを知らない無鉄砲さが伝わってくるような内容です。当時、この曲のリリースから程なくして突如結婚と引退を発表し、人気絶頂のうちに風のように芸能界を去っていった(でもってまた風のように舞い戻ってくるわけだけども)石野真子さんの実像とどこか重なるような感じのする曲です。
さて、この曲もあくまで本場のサンバとは似て非なる、日本で独自発展を遂げた、いわゆるサンバ風歌謡曲の一つだとは思いますが、躍動感のある速いテンポのリズムに、哀愁を帯びたマイナー調のメロディーが乗っかるという点においては、本場のサウンドの基本路線を少なからず踏襲している曲といえるかもしれません。
だからというわけでもないのでしょうけども、さらに本場のサンバに寄せるつもりだったのか、何かにとりつかれたようにやたら高速で演奏される引退ライブでの「思いっきりサンバ」。もはやあんまり速すぎてサンバとはまた別物になってる気がしなくもないですが、そのへんはご愛嬌ということで・・・。
思いっきりサンバ(LIVE)
石野真子
収録アルバム
さよなら公演 完全収録ライブ(2)
release:1983
作品データ
思いっきりサンバ
リリース:1981(昭和56)年
歌:石野真子
作詞:有馬三恵子
作曲:筒美京平
編曲:大村雅朗