この曲、私が子どもの頃、お酒か何かのCMで使われていた曲で、当時はCM用にコミカルにアレンジし直した曲なんだろうとばかり思ってたのですが、れっきとしたアメリカの1950年代のヒットナンバーだったんでした。
Sho-Jo-Ji(The Hungry Raccoon)
Eartha Kitt
収録アルバム: RCAビクター・プレゼンツ・
アーサ・キット&アーリー・イヤーズ より
release:1955
Sho-Jo-Ji(The Hungry Racoon)
日本の童謡「証城寺の狸囃子」を英語でカバーした曲です。
アーサ・キットという、アメリカのエンターテイナーが歌ってます。
原曲の童謡は、千葉県に実在する證誠寺(しょうじょうじ)というお寺の庭先に夜な夜なたぬきが集まって、何やらにぎやかしそうに歌い踊っている様子を描くものになってますが、アメリカ版の方では、たぬきではなく、ショージョージという名前のいつも腹ペコな食いしん坊のアライグマについて歌った曲になっています。なんでもアメリカにはたぬきはいないんだそうで、念のためアメリカに住んでいる友人に確認してみると「たぬきはいないけど、アライグマならいっぱいいるよ!」と即答でした。アライグマはアメリカではそのへんにうじゃうじゃいる、超身近な(そして意外と厄介だそう)動物なんだそうです。なるほど。
歌詞は英語と日本語のちゃんぽん。ときに語呂合わせのようなユニークなフレーズもあって、たとえば原曲で「負けるな負けるな」と歌うところは、「マカロンとマカロニ(macaroon and macaroni)」というフレーズに置き換えられています。
そのあとも、jelly beans, and pink abalone(ジェリービーンズ、ピンクのアワビ)と、いかにも食いしん坊のアライグマにふさわしい雑多な食べ物の羅列は続きますが、最後は「コイコイコイ(koi,koi,koi)」と"コイ”の大連呼。どうやらショージョージの一番の好物は「koi(コイ)」なる代物らしいのですが、これはそのまま日本語で「鯉」と和訳している訳詞もあるようです。ところでアライグマって鯉食べるんでしょうか・・・?これも念のため、前出のアメリカの友人に尋ねてみたところ「食べる食べる!鯉とか金魚とか。前にご近所さんちの庭が襲撃されて、池で飼ってた金魚、ぜーんぶ食い荒らされちゃったの」
えええ!!!( ̄▽ ̄III)恐るべしアライグマ。
可愛らしい歌だとばかり思ってましたが、どうやらアメリカの現実を如実に映し出したリアリティーあふれる曲だったようです??( ̄▽ ̄)
Sho-Jo-Ji (The Hungry Raccoon)
曲調は、日本の曲がベースながらいきなり冒頭から銅鑼の音で始まったり、かなり日本と中国がごっちゃにされている感じですけれども、総じてエキゾチックでとても楽しい曲です。
連日のように悲しいニュースが巷を駆け巡り、また、なかなか先も見通せない厳しい日々が続きますが、こんなときこそ音楽のパワーをかりて、せめて普段の心持ちだけでも明るく健康に保っていたいと思う今日この頃です。
作品データ
Sho-Jo-Ji(The Hungry Raccoon)
リリース:1955年
歌:Eartha Kitt
作詞:Ujo Noguchi(English: Bill Walsh)
作曲:Shinpei Nakayama