「The Little Old Lady From Pasadena」は、アメリカのポップ・デュオ、ジャン&ディーンの1964年の楽曲。
「パサディナのおばあちゃん」という邦題がつけられている、サーフ・ミュージック系のユニークな曲です。
The Little Old Lady From Pasadena
Jan&Dean
収録アルバム:The Little Old Lady From Pasadena
release: 1964
歌の内容は、真っ赤なアメ車を乱暴に乗り回して街の人々を恐怖に陥れる、とんでもないスピード狂、というか単に車の運転が恐ろしくへたっぴなハイソ系のおばあちゃまのことをコミカルに歌ったもので、「パサディナ(パサデナとも)」というのは、カリフォルニア州南部、ロサンゼルスの郊外にある都市の名前とのこと。
古くから富裕層の居住区として知られる街だそうです。
photo by Devette Johnson@Pixabay
パサデナの市庁舎。街のランドマーク的存在らしい。
ネットで拾った情報によりますと、この曲が生まれた背景には「高齢化社会」の問題があったようで、パサディナをはじめとする当時(1960年代)の南カリフォルニアの多くの富裕層居住区では、それまでの様々な歴史的・社会的事情から住民の高齢化が進み、それに伴って市内では十分な運転スキルをもたないまま扱いの難しい車に乗ってしまう高齢の女性ドライバーによる迷惑運転が横行・・・ちょっとした社会問題になっていたのだそう。彼女たちの多くは夫に先立たれた未亡人で、夫が遺した大型の高級車(当時のお金持ちのステータスだった)を危なっかしく乗り回し、周囲を困惑させていたようです。
くわしくはこのあたりに(↓)
The Little Old Lady (from Pasadena) - Wikipedia
The Little Old Lady From Pasadena by Jan & Dean - Songfacts
さて、全米3位の大ヒットになったというこの「パサディナのおばあちゃん」の影響は日本にも波及しまして、1970年にはグループ・サウンズの雄、ザ・スパイダーズが、この曲を元ネタにした「エレクトリックおばあちゃん」という曲をリリース。
舞台はアメリカから日本に置き換えられ、「パサディナ」はなぜか「弘前(青森県)」になってます。「パサディナのおばあちゃん」ならぬ「弘前のおばあちゃん」です。
弘前を拠点に全国を飛び回る、アグレッシブなおばあちゃんの姿が描かれます。
歌詞が笑ってしまいます。
ザ・スパイダーズ
ザ・スパイダース ツイン・ベスト・セレクションより
「エレクトリックおばあちゃん」収録あり。
しかしながら私自身は世代的におばあちゃんものの曲で真っ先に思いつくものといったらやはり、NHKみんなのうたの「コンピューターおばあちゃん」でしょうか。
坂本龍一アレンジ。テクノ・ポップの名曲!
コンピューターおばあちゃん
コスミック・インベンション
release:1981
元歌あったとは!
今回はこのへんで失礼いたします。
作品データ
The Little Old Lady(From Pasadena)(パサディナのおばあちゃん)
リリース:1964年
歌:Jan & Dean
作詞・作曲:Don Altfeld, Roger Christian