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On a Slow Boat to China(オン・ア・スローボート・トゥ・チャイナ)

有名曲につき、今回は備忘録的にご紹介です。

「On a Slow Boat to China(オン・ア・スローボート・トゥ・チャイナ)」はポピュラー・ソングのスタンダード・ナンバー。
中国行きのスロウ・ボート」として、村上春樹さんの本(小説)のタイトルになっていることでも有名な曲です。
私自身も先にこの本の方でこの曲のことを知りました。


中国行きのスロウ・ボート
 村上春樹(著)
 表題作を含む短編集。
 芝刈りのアルバイトをする青年の物語が印象に残っている。

 

作曲は主にミュージカルや映画音楽の分野で活躍した米国のソングライター、フランク・レッサーの手によるもので、初出は1948年。ケイ・カイザー楽団(ボーカルはハリー・バビットとグロリア・ウッド)がレコーディングしたものがヒット。
以降、多くのミュージシャンにカバーされ、ジャズ・サックス奏者のソニー・ロリンズフィル・ウッズによる演奏など、インストゥルメンタルの名演も数多くあるようですが、やはりこの曲は、男女のシンガーによる軽妙なかけあいが楽しいボーカルものが人気のようで、なかでも1958年にビング・クロスビーローズマリー・クルーニー(俳優ジョージ・クルーニーのおばさん)がデュエットしたものが有名とのこと。


On a Slow Boat to China

歌は、男性が目当ての女性を必死に口説き落とそうとしているような内容で、「君をボートに乗っけてのんびり遠い遠い中国まで行ってしまおうかな。そうすればたっぷり時間をかけて君を口説くことができるから」と、まあ実際にはアメリカから中国までボートで行くなんてそんなことは現実的なことではないのでしょうけど、「それだけどんなに時間をかけてでも君を自分のものにしたいんだよ」と、”Slow Boat to China”という表現には、そんな比喩的な意味合いが込められているようです。男性の甘いささやきをするりとかわす、女性のウィットに富んだ合いの手が楽しい一曲です。曲調はいわゆるこてこての西洋風のジャズのスウィングスタイルですが、曲中にときおりジングルっぽく差し挟まれる中華風のモチーフがエキゾチック気分を盛り上げます。


(I'd Like To Be) On A Slow Boat To China
 Bing Crosby&Rosemary Clooney
 収録アルバム:Fancy Meeting You Here
 release: 1958

 

そしてボーカルものからもうひとつ、ポップでとっても耳なじみのよいものが、ベット・ミドラーバリー・マニロウのデュエット版です。このカバーバージョンは、2002年にこの世を去ったローズマリー・クルーニーへのトリビュート盤として制作されたベッド・ミドラーの「Bette Midler Sings The Rosemary Clooney Songbook」というアルバムに収録されていまして、かつて実生活でも仕事仲間だったというベッド・ミドラーバリー・マニロウのリアルな会話と思しきやりとりも含まれる、旧友同士にふさわしい、息ぴったしの楽し気なナンバーに仕上がっています。


On A Slow Boat To China
 Bette MIdler Duet with Barry Manilow
 収録アルバム
 Bette Midler Sings The Rosemary Clooney Songbook

 release: 2003

 

こちらのバージョンでは、男女の立場が逆転し、こんどは女性の方が男性を積極的に口説くという内容になっています。あくまで印象上の話ですが、アグレッシブな女性にせまられ、ジェントルでちょっと気弱そうな男性がたじたじになっている感じの構図が、いかにも姐御肌っぽい雰囲気のベッド・ミドラーと、ナイーブな優男風のバリー・マニロウのイメージそのまんまという感じでおもしろいなと個人的に思う曲です。本当のところのキャラクターはもしかしたら全然違うのかもしれませんが。

今回はこのへんで。


  作品データ  

On a Slow Boat to China(オン・ア・スローボート・トゥ・チャイナ)
リリース:1948年
スタンダード・ナンバー(カバー多数)
作詞・作曲:Frank Loesser

On a Slow Boat to China

On a Slow Boat to China

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