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Di Mana Kan Ku Cari Ganti(あなただけを)/シーラ・マジッド

マレーシアのシンガー、シーラ・マジッドの1990年のアルバム「Legenda」に収録されている、物悲しい旋律のたいへん美しい曲です。


Legenda
 Sheila Majid
 Year of Release: 1990

マレーシアの歌姫。平成初期におとずれたワールドミュージックブームに乗って、日本でも一躍脚光を浴びました

 

1950年~1960年代にかけて活躍したマレーシアの国民的大スター、P.ラムリ―の曲をカバーしています。


P.Ramlee
 (1929-1973)
 
マレーシアのレジェンド・スター
日本だとさしずめ誰だろ?


このP.ラムリーという人は実に多才な人だったようで、その肩書はざっと見ただけでも、俳優、映画監督、歌手、作曲家、脚本家・・・と驚異のマルチぶりです。わずか44年というその短い生涯のなかで携わった作品は映画だけでも60作以上、曲に及んでは約400曲もの楽曲を作曲していて、そのうち150曲近くの曲が国家遺産に指定されているといいますから、その偉大さがうかがえます。

彼は新作映画が出るたびに監督、主演もこなすほか、劇中歌も作詞作曲して自ら歌うというスタイルが常だったようですが、今回ご紹介の「Di Mana Kan Ku Cari Ganti」も、1962年の「Ibu Mertua-ku」(邦題:「わが義母」)という映画の中で、主人公のサックス奏者を演じるP.ラムリー自らによって歌われます。
古い映画ながら縁あってこの「Ibu Mertua-ku」という映画を見ることができたのですが、格差恋愛&結婚の残酷すぎるほどに悲しい成れの果てを描く、かなりシビアな内容のラブストーリーでした。最初はラブコメディーのようなノリで始まるのですが、途中からは完全悲劇へ。自分の意にそぐわない結婚をした娘夫婦の仲を引き裂くべく不気味に暗躍する老獪な母親の鬼畜っぷりが際立つ作品です。

「Di Mana Kan Ku Cari Ganti」は、妻の突然の訃報を受け、悲しみのあまり健康も職も家も何もかも失い、まさに人生のどん底を這うような日々を過ごす主人公(P.ラムリー)によって歌われる曲で、「あなたの代わりになる人をどこで見つけたらよいのでしょう?」「天国にでもいるのでしょうか」と、最愛の人を失った喪失感と絶望を歌います。今やスタンダード・ナンバーのような存在の曲らしく、多くの人にカバーされているようですが、洗練さ、モダンさといった点では、シーラ・マジッドの歌ったものがリリースからまもなく30年が経とうとしている今でも、頭一つも二つも抜きんでているように個人的には感じています。

さて、話は少しP.ラムリーに戻りますが、戦時中の日本統治下のペナンで少年時代を過ごした彼は、現地で日本の学校に学び、そこで日本語や音楽の基礎を学んだため、その音楽性には、日本文化の影響が見られるんだとか。彼の紡ぎ出したメロディラインになんとなく親しみやすさや郷愁めいたものを感じるのはそのせいかもしれません。

 作品データ 

Di Mana Kan Ku Cari Ganti(邦題:あなただけを)
リリース:1990年
歌: Sheila Majid
収録アルバム「Legenda」
詞:Syed Sudarmaji
曲:P.Ramlee

Dimanakan Kucari Ganti

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  • ポップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes