月夜にボサノバ/中尾ミエ

どっかで聴いた曲だと思ったら、ジャズのスタンダード・ナンバー「Fly Me to the Moon」のカバーだったんでした。

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「Fly Me to the Moon」は、もともと「In Other Words」というタイトルの曲で、曲調も当初はワルツ調だったようなのですが、これを後年、米国のジャズ・ピアニスト、ジョー・ハーネルがボサノヴァ風の曲に書き直して発表したものが世界的にヒット。


Fly me to the Moon
 FLY ME TO THE MOON AND THE BOSSA NOVA POPS
 Joe Harnell His Piano and Orchestra
 Year of Release: 1963

私的にジャケット大賞

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そして、ジュリー・ロンドンが魅惑のスモーキー・ヴォイスでセクシー&エレガントにカバー。ジョー・ハーネル版の雰囲気をほぼ踏襲している感じでこちらもボサノヴァっぽいです。


Fly me to the Moon
 The End of the World
 Julie London
 Year of Release: 1963

オシャンティー

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でもって、ほぼ時を同じく(1963年)して、我らが日本でも中尾ミエさんが「月夜にボサノバ」として早くもカバー!・・・してるのですが、ボサノバというわりにはあまりボサノバには聞こえない「月夜にボサノバ」笑。イントロではなぜか今にも一休さんが登場しそうな和の雰囲気すら漂います。
それぞれ聴き比べてみると、同時期にリリースされたこの3曲はアレンジ的にはそんなに大差がない気がするのですが(後ろで刻んでいるリズムもほぼ同じ。ボサノヴァ・クラーベというやつか?)なぜもこうも違うく聞こえるんでしょう・・・?
うまく言えませんが、「月夜にボサノバ」は、他の2曲と違って全体的に演奏も歌も土っぽい印象で、そのうえパンチが効きすぎているというか・・・ボサノヴァというにはいささか元気が良すぎるのかもしれません・・・( ̄▽ ̄)(あくまでも私感です)

でも考えてみればこの曲がリリースされたのは昭和38年。昭和38年といえば日本はちょうど高度成長期の真っ只中にあった頃です。しかも翌年には東京オリンピックや新幹線開業といった華々しい大イベントを控え、おそらく国中が沸きに沸いていた年だったろうことは当時を生きていない私でも想像に難くありません。「歌は世に連れ世は歌に連れ」といいますが、そんな時勢ですから、音楽だってけだるくアンニュイなものよりは、明日への活力に繋がるようなバイタリティあふれる元気なものが好まれる時代だったに違いありません。だから「月夜にボサノバ」もきっとこんな感じでよかったのです。ミエ姐さんで丁度よし。もう勝手にそういうことにしておきましょうっと。

でもさんざこんなことを書きながら、中尾ミエさんの卓抜したリズム感と歌唱力、ラテン・ジャズ風にアレンジされた間奏部分のカッコよさと演奏のクオリティの高さには思わず舌を巻いてしまったのでした・・・。

 

 作品データ 

月夜にボサノバ
リリース:1963(昭和38)年
歌:中尾ミエ
詞・曲:Bart Howard(日本語詞:池すすむ)
編曲:森岡賢一郎

月夜にボサノバ

月夜にボサノバ

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