Alexandrie Alexandra/クロード・フランソワ

今回はエジプト第2の都市、アレクサンドリアをテーマにした曲をご紹介します。
フランスの歌手、クロード・フランソワ(Claude François)が歌った「Alexandrie Alexandra」です。


Alexandrie Alexandra
Claude François
収録アルバム:Magnolias for Ever
release:1977

 

クロード・フランソワは、1960年代から1970年代にかけて活躍したエジプト・イスマイリア生まれのフランス人ポップスシンガー。”クロクロ(Cloclo)”の愛称で親しまれ、本国フランスでは国民的人気を誇るスーパースターだったそうですが、人気絶頂のさなかの1978年に、不慮の事故(自宅浴室で感電死…(>_<))によって39歳という若さで亡くなっています。


最後のマイ・ウェイ (2012・仏)
2012年に公開されたクロード・フランソワの伝記映画。
原題は「CLOCLO」
実はフランク・シナトラの「マイ・ウェイ」を最初に作って歌った人物としても知られる彼の、波乱に満ちた39年の生涯を描く。

 

「Alexandrie Alexandra」は、クロード・フランソワが亡くなる前年の1977年に作られたディスコ調の曲で、元々は同年12月リリースの「Magnolias For Ever」というアルバムに収録されていた曲だったようですが、のちにシングルカットされ、これが翌1978年の3月15日に発売されています。奇しくもこの発売日は、その4日前に不運な事故によって突然この世を去ることになってしまったクロード・フランソワの葬儀の日に重なりました。仏語版wikipedia等の情報によりますと、「Alexandrie Alexandra」のシングル・カット盤を1978年3月15日に発売するよう求めていたのは、他ならぬ生前のクロード・フランソワ本人だったようです。真偽のほどはわかりませんが、まったくの偶然にしてもなんだか不思議な話です。

晩年のクロード・フランソワは、新たな聴衆を開拓しようと、当時世界的なブームになっていたディスコ音楽に挑戦するようになり、また、来るべき海外進出のことも念頭にあったのか、当初は英語版のディスコアルバムを作ろうと考えていたようです。しかし、彼の友人で「Alexandrie Alexandra」の作曲者(クロード・フランソワと共同名義)でもあるジャン・ピエール・ブルテール(Jean-Pierre Bourtayre)に英語で歌うことは思いとどまるよう説得され、結局、詞については当時、名作詞家として名を馳せていたフランスの詩人兼作家、エチエンヌ・ロダ=ジル(Étienne Roda-Gil)に作詞を依頼しています。左翼インテリで知られるロダ=ジルは、最初のうちはクロード・フランソワの大衆性を嫌って頑なに依頼を断っていたそうですが、最終的には共に仕事をすることに同意して、クロード・フランソワのルーツであるエジプトを想起させる、いわばこの歌い手にとってのちょっとした原点回帰の曲となるような詞を書きあげます。こうして生まれたのが「Alexandrie Alexandra」だったようです。

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エジプト、アレクサンドリア Photo by Flo P on Unsplash

歌詞の中には「ナイル川」や「バラクーダ」、世界の七不思議で知られる「アレクサンドリア灯台」などエジプトにちなんだエキゾチックなワードがたくさん出てきますが、歌詞全体の内容はとなると、おそらく熱烈な求愛の歌だと思うのですが、なにしろ比喩表現がぶっとび過ぎているので正直意味はよくわかりません。実際、クロード・フランソワ本人も「歌詞を理解しきれない曲を歌うのはこれが初めてだ」と公言していたようです。しかし彼のこの「Alexandrie Alexandra」にかける意気込みは並々ならぬものがあったようで、亡くなる約一か月前には、この歌を色々な言語でも歌おうとしていたのか、自分と同じエジプト出身のミュージシャンにこの曲の歌詞をアラビア語に訳すよう依頼していたそうです。先にご紹介した伝記映画「最後のマイ・ウェイ」の中でも、終盤、念願だった米国進出を前にどんどん新しい計画を進めていくエネルギッシュな姿が描かれていましたが、彼の突然の死はまさにこれからまた新たな一時代を築こうとしていた矢先の、本人にとってはもちろん、フランスのポップス界全体にとっても本当に痛恨の極みのような出来事であったのかもしれません。

さて、クロード・フランソワはこの「Alexandrie Alexandra」を存命中に4回、テレビに出て歌う機会があったらしく、そのうちの貴重な一回(1977年11月の映像とのこと)がフランス国立視聴覚研究所(INA)のアーカイブスに残されてるのですが


www.youtube.com

なんでしょうこの中毒的魅力。
そして後ろの股下平均83cmみたいなお姉さま方(クロクロ専属のバックダンサー、Les Clodettesのみなさんです)のセクシーなんだかそうでないんだかよくわからない衣装・・・( ̄▽ ̄)
ついいろいろとツボらずにはいられませんが、クロード・フランソワは没後40年以上が経過する今でもフランスでは根強い人気があり、「Alexandrie Alexandra」に至っては、どこかでパーティーがあれば必ず一度はかかる、今や宴会には欠かせない定番のBGMになっているのだとか・・・。一陣の風のように時代を駆け抜けていったクロード・フランソワはまぎれもなくフランス音楽界きっての伝説的スーパースターといえましょう。

<参考URL・文献>
Alexandrie Alexandra — Wikipédia
100% Vinyle : Claude François - Alexandrie Alexandra - Nostalgie.fr
"Alexandrie, Alexandra", ce tube éternel de Cloclo qui fait toujours danser
Paroles de Alexandrie Alexandra,Claude François(+explication)- GreatSong.net
・向風三郎、ポップフランセーズ 名曲101 徹底ガイド フランスは愛と自由を歌い続ける 音楽出版社、2007、p108-109

 

  作品データ  

Alexandrie Alexandra
リリース:1977年(シングル:1978年)
歌:Claude François
作詞:Étienne Roda-Gil
作曲:Jean-Pierre Bourtayre, Claude François