Ma Jeunesse Fout le Camp(もう森へなんか行かない)/フランソワーズ・アルディ


Ma Jeunesse Fout le Camp
 Françoise Hardy
 収録アルバム:Ma Jeunesse Fout le Camp...
 release: 1967

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青春期との決別を歌う、詩情にあふれたとても美しい曲です。
物悲しい旋律が耳を惹きます。
「私の青春が逃げていく」という意味の原題に対して、日本では「もう森へなんか行かない」というタイトルがつけられています。この邦題は曲中で象徴的に繰り返される「Nous n'irons plus au bois(私たちはもう森へは行かない)」というフレーズを意識したものと思われますが、このフレーズと全く同じタイトルの童謡がフランスにありました。


Nous n'irons plus au bois
フランスの遊び歌

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いざ聴いてみますと、「もう森へは行かない」というどこか厭世的な響きのタイトルとは裏腹に「みんなで踊りましょう。跳んで踊って気に入った子にはキスしましょう」と、やけににぎやかしい内容です。調べたところによると、この童謡が誕生したのは18世紀。グレゴリオ聖歌の旋律に詞を乗せて作られた曲だということですが、作詞者はあのポンパドゥール夫人(フランス王ルイ15世の公妾)だとする説が有力なんだとか。妖艶なイメージのポンパドゥール夫人がまさか童謡を書いていようとはよもや思いも寄りませんでしたが、この曲が成立した時期というのが夫人が年齢や体力を理由に王の愛妾の座を若い女性たちに譲った頃とほぼ合致するため、表向きは童謡の体をとりながら、実のところは暗にそのへんの大人の艶めかしい事情を歌ったものではないかとする見方もあるようです。
今ではフランスの国民的な童謡になっているというこの曲をかのドビュッシーも愛好し、旋律の一部を自身の曲(「雨の庭」等)に取り入れるなどだいぶ影響を受けていたようですが、そういう点から考えますと、アルディが歌う「Ma Jeunesse Fout le Camp」も、この童謡を多分に意識して作られたものであるように思われます。物憂げなメロディーにのせて「もう森へは行かない」と繰り返されるフレーズには何か秘密めいたメッセージが込められているのではないかと思わず期待したくなりますが、おそらくはそんなに深い意味はなく、「もうあの頃には戻れないのだ」と、瞬く間に過ぎ去ってしまった無邪気な頃の象徴として用いられているのだろうと、個人的には勝手に解釈しています。

さて、私長いことこの曲はフランソワーズ・アルディのオリジナル曲だと思ってたのですが、実のところはカバーだったみたいなのでした。もともとはギイ・ボンタンペリ(Guy Bontempelli)というフランスのシンガーソングライターが作詞作曲した曲で、最初に歌ったのはミッシェル・アルノー(Michèle Arnaud)とのこと。アルディの歌唱と比べますと、かなり古典的シャンソンのテイストが強い印象です。


Ma Jeunesse Fout l'Camp
 Michèle Arnaud
 収録アルバム:La chanson de prévert
 release:1962

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1964年には、同じくフランスの俳優兼歌手のジャン=クロード・パスカル(Jean-Claude Pascal)がカバー。日本ではあまりなじみのない俳優さんのような気がしますが、1950~60年代に主に本国フランスの映画界で活躍した方のようです。実際に歌っている映像を見ましたが、いかにもフランスの伊達男といった感じのかなりの男前です。もちろん歌もよし!


Ma Jeunesse Fout l'Camp
 Jean-Claude Pascal
 収録アルバム:Jean-Claude Pascal
 release:1964

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日本勢もがんばってます。
1988年には「池上線」でおなじみの西島三重子さまがカバー。ダークです。


もう森へなんか行かない
 西島三重子
 収録アルバム:想いの届く日
 release:1988

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そして今となってはちょっと懐かしいこの方も。


もう森へなんか行かない
裕木奈江
収録アルバム:素描
release:1994

 

一瞬「えええ」となりましたが、声質に合ってるのか意外と悪くありません。
訳詞は裕木奈江さんご本人が。編曲は萩田光雄氏が手がけたようです。

ところで、今この記事を書きながら、ドラマ「北の国から」に主人公の恋人役で出演していた裕木奈江が、劇中どこかすっとぼけたような語感のあだ名で呼ばれていたことをふと思い出し、しかし肝心のそのあだ名が何だったのかが全く思い出せずモヤモヤしています。ドジ子だったかな・・・?いや、モジャ子?・・・違うな・・・。

私の青春はとっくに逃げ去りましたが、いまや記憶までもが逃げ去ろうとしているようです・・・( ̄▽ ̄;) あとで調べましょっと・・・。


  作品データ  

Ma Jeunesse Fout Le Camp(もう森へなんか行かない)
リリース:1967年
歌:Françoise Hardy
作詞・作曲:Guy Bontempelli