昔、娘をお嫁に出すときの父親の心情をしみじみと歌った、芦屋雁之助さんの「娘よ」という曲があってたいへんヒットしましたが、海外にも似たような曲がありました。
フランスの俳優兼シンガー、セルジュ・レジアニ(Serge Reggiani )が歌った
「Ma fille(直訳:私の娘)」という曲です。
楽曲の初出は1971年。「Rupture」というアルバムに収録されたのが最初のようです。
年頃を迎えていよいよ親元を離れていくことになった娘に父親が送別のメッセージを贈るような内容の曲で、クラシカルでもの悲しいメロディーに乗せて、我が子の幸せを願ってやまない父親の想いが、慈愛たっぷりに歌われます。
Rupture
Serge Reggiani
「Ma fille」収録
release:1971
メロディの美しさもさることながら、この曲の特筆すべきはその詞の美しさで、娘の新たな門出を見送る淋しさと希望がないまぜになったような父親の心情が、流麗な言葉でもって詩情豊かに紡がれています。たとえ親子であっても、家もまた社会の延長であるかのように、子どもは子ども、親は親としてそれぞれが別個の存在として尊重され、互いに一人の人間同士として関係を築いていく・・・。日本とはまた違った、個人主義の国フランスならではの家族関係が垣間見れるのもまたこの曲の興味深いところです。
「Ma fille」の歌詞 → Serge Reggiani:Ma Fille Lyrics | LyricWiki | Fandom
いずれにしても、国によってさまざま文化や考え方の違いはあれど、子を想う親の気持ちにはどうやら国境はなさそうです。
photo : Anders Hallström@Pixabay
さて、この曲は他のアーティストにもカバーされておりまして、2002年にはカナダのフランス語圏(ケベック州)出身のシンガーであるイザベル・ブーレイ(Isabelle Boulay)がこの曲を歌っています。ハスキーな歌声が魅力的です。
Ma fille
Isabelle Boulay
収録アルバム「Au moment d'être à vous」
relese:2002
そして日本でもこの方がカバー(?)。
何を隠そう私はこの曲のことを、この動画(↓)を見て初めて知りました。
BSで列車だけに乗せておくのはほんともったいないお方、といつも思う。
作品データ
Ma Fille
リリース:1971年
歌:Serge Reggiani
作詞:Eddy Marnay
作曲:Raymond Bernard