やさしい人/大橋純子

好きな男性に違う男の人を紹介されたらさてどうしましょう?
(どうして⁉わたしが好きなのはあなたなのに・・・)と胸の内に切ない思いを秘めながら、ひたすら届かぬ思いに身を焦がし続けるでしょうか。それとも
「何言ってんだい!あたしゃあんたのことが好きなんだよぉぉぉ」(浅香光代さんか)
と、この際に思いきって自分の心のたけを相手にびしばしっとぶつけてみるでしょうか・・・。
結果はともかく、長い目で見れば後者のほうがあとあとスッキリするような気がしなくもないですが、浅香光代さんでは悲しい恋愛ドラマというよりも、チャンチャンバラバラの大剣劇が始まってしまいそうですので、今回は何ともいじらしい前者のタイプの女性が登場する歌のお話をさせていただこうと思います。

大橋純子さんの「やさしい人」です。

歌に登場する主人公の女性はある男性に恋しています。
しかしその男性は、彼女の気持ちを知ってか知らずか、それとも単純に超鈍感なだけなのか、彼女に交際相手として自分の友達を紹介します。そして「困ったときは相談しろよ」とやさしく言います。
(私が好きなのはあなたなのにどうしてわかってくれないの⁉)彼女は心の中で叫びます。
女性は男性の気持ちを試してみたくてときにわざと別な恋に走ってみせたりもしますが、結局その恋に破れます。しかしそんなときも男性は少しの動揺も見せることなく、思わせぶりに女性の肩を抱いてただただやさしく彼女を慰めるだけなのです・・・(肩はあかん肩は!)

あなたはやさしいけれど、とても残酷・・・。
ときに悲痛な叫びのようにも聞こえる、悲しみ色に染まった大橋さんのソウルフルな歌声が、一方通行の恋に揺れ動く女性のひりひりとした悲しみを伝えます。

この「やさしい人」は1976年発表の大橋さんの2枚目シングル「ペイパー・ムーン」のB面に収録された曲で、同年発表の同名アルバム「ペイパー・ムーン」にも収録されています。
作曲陣には松本隆筒美京平林哲司と希代のヒットメーカーがずらりと名を連ね、とてもB面にしておくのはもったいないぐらいの豪華な一曲です。

まさに大橋純子さん初期の頃の隠れた名曲といえるでしょう。

 作品データ 

やさしい人
リリース:1976(昭和51)年
歌:大橋純子
作詞:松本隆
作曲:筒美京平
編曲:林哲司

やさしい人

やさしい人

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