Până când nu te iubeam/Pink Martini

今回は海外からステキなエキゾチック・ナンバーをご紹介します。


Pink Martini (with singer Storm Large) - Până când nu te iubeam

上の動画で米国のジャズ・アンサンブル、ピンク・マルティーニ(Pink Martini)が演奏しているのは「Până când nu te iubeam」というルーマニアの曲です。

2013年リリースの彼らのアルバム「Get Happy」にも収録されています。


Get Happy
 Pink Martini
 release 2013
 「Până când nu te iubeam」収録
(邦題:あなたに恋するまでは)
    

 


歌の内容は「あなたに恋してからというもの気もそぞろで何も手につかなくなってしまった」という感じの、かなり熱っぽい調子のラブソングで、タイトルの「Până când nu te iubeam」は、英語では「Before I Fell in Love with You」などと訳され、日本でも「あなたに恋するまでは」という邦題がつけられています。

初めて聴いたときにはそのあまりの曲の美しさに鳥肌がたちました。
そして自分のことながら今さらになって気づいたのです。
私が本当に好きな音楽はインドでも中近東でもなくどうやらこのへんにあったのだと!

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画像素材:素材Library.com

バルカン半島
早い話がジプシー音楽が好きだったという・・・。
そういえばピアノを習っていた子どもの頃、無類の練習嫌いでいつもやる気がなく、親にも先生にほとほと呆れられていた私が、あるとき発表会で「ハンガリー舞曲第5番」を弾くことになったときだけは自分でも何が何だかよくわからないまま何かに突き動かされるようにがぜんやる気スイッチが入り、「なにちょっと今回ばかりはいったいどうしたのよアナタ!お願いだからいつもこれぐらいがんばってちょうだいよ(泣)」と、先生にすっかり不気味がられてしまった遠い思い出・・・(汗)

・・・と、自分語りが過ぎましたところで曲の話に戻りますが、

さて、この「Până când nu te iubeam」ですが、実はたいへん歴史のある曲のようでして、今からさかのぼること170年近くも前に、アントン・パン (Anton Pann 1796頃~1854)という、ルーマニアではたいへん有名な偉人的存在の音楽家が作曲した同名のトラディショナル・ソング(民謡)が元々の原曲なのだそう。
そして20世紀に入り、マリア・タナセ(Maria Tanase)というルーマニアの国民的人気歌手が、この古い恋唄を現代風に再解釈してカバーしたものが有名になります。


Până când nu te iubeam
 Maria Tanase(1913-1963)
 収録アルバム
 The Nightingale of Bucharest, Volume 3

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マリア・タナセは、戦時中の1930年代にデビューし「ルーマニアエディット・ピアフ」とも称されたほどの名シンガー。1963年に惜しくも49才の若さで亡くなりますが、早い時期から時の渦に埋もれつつある自国ルーマニアの古い民謡やジプシーソングの掘り起こしに着目していた彼女は、芸能活動をこなす一方で、伝統的な曲の調査・研究にも尽力し、その道でも大変高い評価を受けた人なのだそうです。ピンク・マルティーニによる「Până când nu te iubeam」は、まさにこのマリア・タナセが歌ったものを踏襲するかたちになっています。

彼らのホームページに、この曲にまつわる制作秘話的なエピソードがちょっとだけ載せられていたのであわせてご紹介しておきます。
よろしかったら下記からどうぞ(原文=英語です)
→ Pink Martini – “Get Happy”: The Stories Behind the Songs, Part 4

 

  作品データ  

Până când nu te iubeam(邦題:あなたに恋するまでは)
リリース:2013年
歌:Pink Martini
収録アルバム「Get Happy」
曲: Traditional Romanian(ルーマニア民謡)

あなたに恋するまでは

あなたに恋するまでは