忘れチャイナの青い鳥 /太田貴子
忘れチャイナの青い鳥
太田貴子
release:1986
アニメ「魔法の天使クリィミーマミ」の主人公の声役やってた方だそうです。そういえばそうだったような・・・なんとなくうっすら記憶が蘇ってきました。
リリースは1986年。
歌詞は、遊びと知りつつ危険な男性に惹かれ、結局は失恋してしまったらしい女性のやるせない胸の内を幻想的なタッチで描くもの。さしずめ「遊ばれ女の嘆き節」といった感じの内容です。「忘れチャイナ」「捨てチャイナ」と、詞の中に何度も「チャイナ」が登場しますが、一聴したところでは、詞曲ともに特段の異国情緒は感じません。”チャイナ(china)”と”~ちゃいな”をかけて言葉遊びしているだけの感じ。作詞は康珍化氏。昭和を代表するヒットメーカーのお一人ですが、手がけられた数々のヒット曲(KYON²とか)を思い起こしてもみても、なるほどたしかにこの手のユニークな歌詞が多い印象です。
「青い鳥」はおそらく逃げていった恋の象徴。「やっと捕まえた!」と、見つけた人を一瞬だけぬか喜びさせてとっとと姿を消してしまう、愛らしい見た目とは裏腹にわりと薄情なイメージのしあわせの青い鳥に、一瞬の甘く残酷な恋の思い出だけを残して消えたつれない男の姿を重ね合わせているのでしょう。
作曲はこれまた昭和を代表するトップメロディーメーカーの都倉俊一氏。なんだかとってもどこかで聴いたような感じがしなくもないメロディ―展開ですが(かといって似ている曲がすぐに思い出せるわけでもない)、総じてサスペンスタッチな雰囲気で悪くありません。サビも抑制こそ効いてますが、バックコーラスとのかけあいがミステリアスな雰囲気を作り出していてとてもいい感じです。あえてエキゾシチズムを感じるとしたらこのサビの部分でしょうか。
さて私、この歌はダジャレ的に「チャイナチャイナ」言ってるだけで、それ以上の意味は特にないのだろうと思っていたのですが、よくよく調べてみると、どうやら中国にも青い鳥を幸せの使者とする古い伝説(故事)があるらしいことがわかったのでした。「青い鳥」といえばメーテルリンクだとばかり思ってましたが・・・(@_@) 、なるほど「チャイナ」と「青い鳥」の間には実はしっかり整合性があったわけね・・・。
中国の青い鳥―シノロジー雑草譜
中野美代子(著)
「青い鳥=幸せの象徴」とする概念の起源はもしやチャイナに??
今度読んでみようと思います
意外と奥の深そうな「忘れチャイナの青い鳥」。セールス的には振るわなかったようですが、まぎれもなく昭和の隠れ名曲の一つと言ってよさそうです。機会がありましたらぜひどうぞ。
作品データ
忘れチャイナの青い鳥
リリース:1986(昭和61)年
※下記CD「太田貴子ベストコレクション」に収録あり
歌:太田貴子
作詞:康珍化
作曲:都倉俊一
編曲:都倉俊一・渡辺孝好